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LINEMOのeSIM対応って何?他キャリア新プランのeSIM動向は?

2021年3月17日、ソフトバンクの新しい格安プラン「LINEMO(ラインモ)」がスタートしました。
お得な料金設定のほか、「eSIM(イーシム)」に対応したことでも注目されています。

新規申し込みやユーザーサポートのオンライン化が進むなか、eSIMは通信事業者の乗り換えが手軽になることなどから、普及が期待されている技術です。
そこでこの記事では、いま知っておきたいeSIMの基本からメリット・デメリット、他キャリアのeSIM対応状況まで、まるっと紹介していきます。

現在、スマホの乗り換えを検討している人は特に必見です。

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知っておきたいeSIMの基本

eSIMのメリットを十分に活かすには、スマホをeSIMにすると何が変わるのかを理解しておくのがよいでしょう。
まずは、これまでの主流である「SIM」から、順を追って説明していきます。

SIMとは

「SIM」とは「Subscriber Identity Module」を略した用語で、「契約者を識別するための部品」という意味です。
この部品はICチップを搭載した小さなプラスチック製のカードで、「SIMカード」などとも呼ばれます。

通常、SIMカードは回線の申し込みが完了すると受け取れます。
スマホ本体に「SIMカードスロット」という開閉可能なトレイがついていて、ここにSIMカードを装着する仕組みです。
といっても、自分でトレイを開けたことがないという人もいるかもしれません。
本体をショップに持ち込んだり契約と同時に購入したりした場合は、店舗スタッフがSIMカードを装着してくれることも多いためです。

SIMカードのICチップには、正規ユーザーだけが回線に接続できるようにするためのプログラムが格納されています。
スマホはSIMが許可した場合にのみ回線を利用するようになっているため、SIMがなければ通話やデータ通信を行うことはできません。
また、SIMにはユーザーの特定に必要なIDや電話番号なども一緒に納められています。
これは、契約者情報はスマホ本体ではなくSIMに紐づけられているということです。

そのため、SIMカードを取り出して別のスマホに装着しなおせば、同じ電話番号で電話をかけられるようになります。
2枚のSIMカードを挿し替えながら、1台のスマホで2つの電話番号を使い分けるといったことも原理的には可能です。

SIMについて、さらに詳しく知りたいという人は「SIMってそもそも何?孫から伝える「SIMのススメ・超基本編~SIMの読み方から」」をご確認ください。

eSIMとは

「eSIM」は、「SIM」に「embedded(埋め込まれた)」を意味する「e」をつけてできた用語です。
eSIMでは、スマホ内部にはじめからICチップが埋め込まれています。
ICチップ内の情報は、「リモートSIMプロビジョニング(RSP)」という仕組みによって、遠隔で書き換えられるようになっています。
書き込まれる情報は、SIMカードの場合と基本的に同じです。
これにより通信事業者が契約者を特定できるようになるため、ユーザーはスマホ回線に接続したり、自分の電話番号で通話したりできるようになります。

SIMカードやトレイといった物理的な機構を必要としないところが、eSIMのポイントです。
情報の書き換えのみで従来のSIMカードと同じ働きをすることから、このあと説明するようなさまざまなメリットが生まれます。
なお、物理的なSIMカードのなかにも、情報の書き換えが可能なものは存在します。
このようなSIMカードも広い意味で「eSIM」と呼ばれることがあるので、混乱しないようにしましょう。

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eSIMはどうやって利用する?

eSIMは比較的新しい方式なので、通信事業者と端末の選び方によっては利用できないこともあります。
ここでは、従来のSIMからeSIMへ切り替える方法について説明します。

eSIMのプランを契約する

eSIMを利用するには、通信事業者がeSIMに対応している必要があります。
具体的には、「リモートSIMプロビジョニング」の機能や設備をもつ事業者と契約しなければなりません。

また、eSIMに対応した事業者でも、実際にeSIMを利用できるかどうかは、プランによって変わってきます。
乗り換えの際には「留守番電話」や「キャリアメール」のようなサービスが、プランに含まれているかチェックする人が多いと思いますが、あわせて「eSIM対応」かどうかも確認するようにしましょう。

なお、これまでeSIM対応のプランを提供していたのは、国内ではごく限られた通信事業者だけでした。
しかし、大手キャリア各社が今春からスタートする新プランによって、選択肢は増えてきています。

eSIM対応のスマホを用意する

eSIM用のプランを選んだら、スマホ側がeSIMに対応していることも確かめておく必要があります。
eSIMは物理的な機構をもたないため、対応状況を見た目から判断することはできません。
メーカーのホームページなどで公開されている製品情報で、使いたいスマホがeSIMをサポートしているかどうか確認しましょう。

eSIMへの切り替えと同時にスマホも新しくする場合は、通信事業者が推奨している機種のなかから選べば安心です。
スマホ本体の販売も行っている事業者なら、契約と同時におすすめ機種のなかから好きなものを選んで購入できます。

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eSIMのメリットは?

従来のSIMをeSIMに切り替えると、何が変わるのでしょうか。
ここでは、eSIMにすることで得られるおもなメリットについて説明します。

スマホ回線の乗り換えが手軽になる

eSIMの情報の書き換えは、ユーザー自身がスマホの画面上から行います。
といっても、難しい部分は通信事業者が遠隔で自動的に処理してくれるうえ、操作方法についても通常は案内してもらえます。
オンラインで申し込みできる事業者なら、ショップまで足を運ぶ必要もありません。
トレイを開けてSIMカードを入れ替えるといった作業も不要なので、自宅にいながらスムーズに設定を完了できます。

もしかすると、「遠隔で情報を書き込まれたら危険なのでは?」と不安に感じる人もいるかもしれません。
しかし、現在主流となっている「GSMA標準」という仕組みによって、eSIMには強固なセキュリティが確保されています。
また、物理的に取り出すことができないという特徴が、スマホ紛失の際のリスクも減らしてくれます。
たとえ盗難にあった場合でも、SIMカードを抜き取ることで位置情報による追跡を不可能にする、といった手口が使えないのです。
さらに、eSIMの書き換えにはスマホのパスコードや指紋が必要なので、従来のSIMに比べて悪用が難しくなっているといえます。

このように、SIMをeSIMに切り替えれば、スマホ回線の設定が簡単かつ安全になります。
通信事業者の乗り換えも、より手軽にできるようになるでしょう。

利用開始までの時間を短縮できる

物理的なSIMカードでは、ショップでの受け取りや郵送による到着を待つ間、ある程度の日数が必要です。
これに対し、eSIMには申し込みをしてから実際に使えるようになるまでの時間が短いという特徴があります。
eSIMはスマホの操作のみで、すぐに設定を完了できるためです。
オンラインでの申し込みなら、早ければその日のうちに使いはじめることも可能です。

なかには、「契約のときに数日待つくらい問題ないのでは?」と考える人もいるでしょう。
たしかに、スマホ回線は頻繁に乗り換えるようなものではないかもしれません。
しかし、海外旅行の際は、すぐに使いはじめられるという特徴が役に立ちます。
旅行期間中にだけ使う回線を現地で契約すれば、通信料を安く抑えられるためです。
eSIMなら、そのための手続きに旅先での貴重な時間を割かずにすむでしょう。

複数回線の使い分けがスマートになる

仕事用とプライベート用など、2つの回線を使い分けなければならないという人もいるでしょう。
eSIMを活用すれば、このような使い分けも簡単になります。
eSIMに対応したスマホは、同時にSIMカードスロットも備えていることが多いためです。
そのおかげで、2つのユーザー情報を必要に応じて切り替えながら、使用することが可能になります。

もちろん、2枚のSIMカードを差し替えながら使う方法でも同じようなことはできます。
しかし、頻繁にトレイを開け閉めするのは手間がかかるうえ、SIMカードは小さいので紛失してしまうこともあるかもしれません。
そのため、現実的にはいわゆる「スマホ2台持ち」が必要になってしまうでしょう。
eSIMを活用すれば、スマホを2つ持ち歩かなくてもすむようになるためスマートです。

また、月額利用料を抑える目的で2つの回線を併用するという考え方もあります。
例えば、主回線をSIMカードで契約しておき、通話やメールにはこちらを使います。
そして、料金の安いプランを副回線としてeSIMで契約し、WebやSNSをたっぷり使えるようにするのです。

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eSIMのデメリットは?

スマホ回線の切り替えが手軽になるのがeSIMのメリットですが、むしろ手間が増えてしまうようなケースはないのでしょうか。
ここでは、eSIMのデメリットについても触れておくことにします。

「SIMロック」がかかったままでは使えない

契約と同時に通信事業者から購入したスマホには、多くの場合「SIMロック」がかけられています。
「SIMロック」とは、その事業者の回線しか使えないように制限された状態のことです。
SIMを交換すれば他社で契約した回線も利用できるのが通常ですが、「SIMロック」がかかっているスマホではそれができないのです。
これはeSIM特有のデメリットというわけではありませんが、従来のSIMカードとeSIMの両方が制限の対象となるため注意は必要でしょう。

とはいえ、「SIMロック」がかけられたスマホではeSIMが使えないというわけではありません。
通信事業者には「SIMロック」の解除が義務付けられており、手続きをすれば他社と契約したSIMカードやeSIMも使えるようになるためです。
ただし、事業者や手続き方法によっては手数料がかかることがあります。
また、分割払いが終わっていない場合や、一部の古い機種では解除できないケースもあります。

このような面倒を避けるには、最初から「SIMフリー」のスマホを選ぶのもおすすめです。
「SIMフリー」とは、「SIMロック」がかかっておらず、最初からどのSIMでも使える状態のことです。
これにより、回線の切り替えや使い分けが簡単になるという、eSIMのメリットを活かしやすくなります。
通信事業者を介さずにメーカーから直接購入したスマホや、家電量販店で買ったスマホは、原則「SIMフリー」になっています。

機種変更のときに手間がかかる

スマホ回線の乗り換えはeSIMで簡単になるものの、端末を交換する際には手間がかかる部分もあります。
スマホに保存された写真やメールなどのデータは、新しい端末に一括でコピーできますが、eSIMの情報は簡単に複製したり移動したりできないためです。
通常は、通信事業者にeSIMの再発行を依頼して、新しい端末のeSIMに正しい契約者情報を書き込んでもらう必要があります。

とはいえ、このような手間がかかるのは、一般的には機種変更のときだけです。
1つのSIMで複数のスマホを使いたいというような特殊なケースを除けば、問題になる場面は多くはありません。
ただし、eSIMの再発行手続きには手数料がかかることもあります。
機種変更をすることが多いという人は、契約する前に手数料の有無をチェックしておくとよいでしょう。

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eSIMのQ&A

ここでは、eSIMに関するよくある質問をピックアップしました。
eSIMを使いはじめる際の参考にしてみてください。

eSIMで音声通話(電話)はできる?

格安SIMサービスでeSIMを契約すると、電話番号をもらえなかったりデータ通信しかできなかったりするケースが少なくありません。
これには、日本では音声通話を含む契約をする際に、厳密な身元確認が求められていることが関係しています。
郵送や対面での身元確認に時間がかかってしまうと、手軽に使いはじめられるというeSIMのメリットが薄れてしまうのです。

実際にeSIMで音声通話ができるかどうかは、通信事業者の体制や方針、プランなどによっても変わってきます。
とはいえ、音声通話をサポートしていないeSIMでも、無料通話アプリを利用することは可能です。
通話相手と同じアプリをインストールしておく必要はあるものの、データ通信のみでも通話はできると考えて差し支えないでしょう。

今のスマホのままでeSIMに変えられる?

従来のSIMカードで利用中のスマホをeSIMに変えられるかどうかは、その機種がeSIMに対応しているかどうかによります。
メーカーの公式ページなどで、対応状況を確認してみましょう。

例えばiPhoneならAppleのホームページを見れば、iPhone XSとiPhone XR以降の機種がeSIMに対応していることがわかります。
契約を考えている通信事業者のホームページを確認すれば、eSIMで動作確認済みの機種が掲載されていることもあります。

なお、大手キャリアとの契約時に購入したスマホには、「SIMロック」がかけられているのが一般的です。
その場合は、事前に解除の手続きをしてからeSIMの利用を申し込む必要があります。

いらなくなったSIMカードは処分してよい?

eSIMに乗り換えて元の契約を解除すると、これまで使っていたSIMカードはいらなくなります。
しかし、SIMカードは通信事業者から「借りている」ものなので、契約内容によっては返却を求められることがあります。
返却不要と定められている場合は、自分で処分しても問題ありません。
SIMカードのICチップには契約者の個人情報が収められているので、むしろ手元に残しておかないほうが安全です。

SIMカードを処分する際は、データを読み出せないよう物理的に破壊することをおすすめします。
古くなったクレジットカードを捨てるのと同じ要領で、ハサミを入れてから捨てれば安心でしょう。

eSIMにしても写真やメールは消えない?

SIMやeSIMに格納されるのは、通信事業者との契約に関する情報です。
写真やメールなどのデータはスマホ本体やクラウドなどに保存されているので、eSIMに切り替えただけで消えてしまう心配はありません。
すでにeSIMを使っていて、通信事業者の乗り換えのために情報を書き換える場合も同様です。

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LINEMOのeSIMはいつから使える? キャリアごとのeSIM対応状況を紹介

2020年12月のNTTドコモの発表を皮切りに、2021年春スタートの新プランが大手キャリアから続々と登場しています。
なかでも先陣をきってサービスを開始したのは、ソフトバンクの「LINEMO」でした。
各社それぞれサービス内容については特色がありますが、ここではeSIMのサポート状況を中心に紹介していきます。

LINEMO(ラインモ)

LINEMO」は、2021年3月17日にスタートしたソフトバンクの新ブランドです。
ソフトバンクのモバイル回線網をそのまま活用した通信の安定性と、コミュニケーションのための定番アプリ「LINE」の利用分が料金に加算されない「LINEギガフリー」などが特徴となっています。

eSIMについては、「LINEMO」はサービス開始当初から対応しています。
初期設定も、QRコードを読み取ると画面に表示される手順に沿って進めるだけという手軽さです。
ただし、スマホの販売は行っていないので、eSIMに対応した端末を申し込み前に自分で用意する必要があります。
いま使っている機種がeSIM対応なら、「SIMロック」を解除するだけで使えるケースが多いでしょう。
公式ページにも動作確認済みの機種が掲載されているので、事前に確認しておくのがおすすめです。

また、ソフトバンクグループでは「Y!mobile(ワイモバイル)」も提供していますが、こちらでも同日からeSIMの申し込みができるようになっています。
新規申し込みの際にeSIMを選べるほか、既存ユーザーはプラン変更なしでeSIMに切り替えることが可能です。
なお、「LINEモバイル」(「LINEMO」とは異なります)については、2021年3月31日をもって新規受付が終了しました。

ahamo(アハモ)

ahamo」は、2021年3月26日からサービス開始したNTTドコモによる新プランです。
ドコモの通信エリアに対応し、SIMのみの契約も可能となっています。

「ahamo」でeSIMを利用できるようになるかどうかについては、本人確認やセキュリティの面でクリアすべき課題が残されていることから、今のところ未定とされています。
しかし、eSIMの採用そのものについては意欲があるとのことなので、提供開始が待たれるところです。

povo(ポヴォ)

povo」は、2021年3月23日からスタートしたKDDIによる新ブランドです。
auでも使われている同社のモバイル回線網による安心感と、シンプルな基本プランに必要なだけオプションを追加していける「トッピング」に特徴があります。

eSIMについては限定的ではあるものの、サービス開始当初から対応しています。
新規申し込みか、電話番号を引き継いでもらえるMNPによる契約に限り、eSIMを選択できます。
auのスマホから乗り換えたいユーザー向けには、今夏以降からeSIMを提供していく計画となっています。

Rakuten UN-LIMIT(楽天アンリミット)

「Rakuten UN-LIMIT」は、楽天モバイルによる通信サービスです。
データ通信量が1GBまでなら月額0円という、大胆な料金体系で話題になっています。
このプランは2021年4月1日から提供開始されており、既存ユーザーにも自動的に適用されます。

eSIMについては、「Rakuten UN-LIMIT」はすでに対応済みです。
申し込み時の本人確認などもオンラインで完結するので、スピーディに利用開始できます。

IIJmioの格安eSIMプラン「データプラン ゼロ」という選択も

格安SIMを扱うIIJmioは、国内で最初にeSIMを導入した会社です。
2019年7月には「ベータ版」という形でeSIMの導入を果たしており、その翌年の3月19に正式サービスとして「データプラン ゼロ」をスタートさせました。

現在の契約をそのまま残しながら、副回線として申し込みやすい料金設定が同プランの特徴です。
2つの回線を併用することでトータルの費用を抑えつつ、音声通話やキャリアメールなどは既存のものを使い続けられます。

「データプラン ゼロ」は「SIMロック」がかかっていない端末があれば契約でき、利用開始までの手順もシンプルです。
オンラインでの申し込みが完了すると届くアクティベーションコードを、スマホの設定画面からスキャンすれば初期設定が完了します。

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まとめ

スマホ回線の申し込みは、eSIMで早く・簡単にできるようになります。
最近では対応機種も増え、各キャリアからeSIMの採用が続々と発表されていることなどから利用環境は整いつつあるといえるでしょう。

 
eSIM対応状況 備考
LINEMO サービス開始当初からeSIM対応済み
ahamo × 現状未定
povo 新規申し込み/MNPによる契約に限りeSIM選択可能
Rakuten UN-LIMIT サービス開始当初からeSIM対応済み

 

うまく使いこなせれば、今よりもお得なプランへの乗り換えや複数回線の賢い使い分けも可能です。
これを機に、自分に最適なサービスを選んでみてはいかがでしょうか。

※公開日時点の情報のため、お申込みの際は実際のお申込みページの情報をご確認ください。

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この記事の監修者

野口 圭一

GMOインターネットグループ株式会社
とくとくBB事業部所属

プロバイダーサービス「GMOとくとくBB」事業責任者/ネット回線の専門家

10年以上にわたりGMOとくとくBBで販売しているインターネット回線全般のマーケティングに携わっており、モバイルWi-Fiから光回線・固定電話回線まで取り扱っているため、通信業界の幅広い知見がある。

現在はGMOとくとくBBの事業責任者をしながら、インターネット回線のスペシャリストとして当サイト「Smafi(スマフィ)や回線系WEBメディア「とくとくBB通信」などさまざまな媒体の監修で活躍中。